トモエ|福山醸造



旨み研究所

2017.06.30

醤油づくりに欠かせない微生物たち

こちらはトモエ旨み研究所です。

醤油は代表的な発酵食品です。
発酵食品とは、微生物などの力を借り発酵させてつくられる食品です。
醤油の他にも、味噌やヨーグルト、納豆、日本酒、チーズ、ぬか漬けなどの発酵食品があります。発酵により味が良くなったり、栄養価が高まったり、長期保存ができたり、などの特徴があります。

今回は発酵食品、とりわけ醤油づくりに欠かせない微生物について考えます。

醤油をつくる時、微生物はどのような働きをするのでしょうか

麹菌・乳酸菌・酵母の3種の微生物が色・味・香りのバランスのとれたおいしい醤油をつくります。

麹菌
醤油の麹は、蒸した大豆に炒って砕いた小麦を混ぜ、そこに麹菌を加えて「醤油麹」をつくります。
麹づくりは、酵素をつくりだすことが目的です。
麹菌は醤油の旨味成分や香り成分などをつくるための酵素の供給源です。酵素によって、原料の大豆や小麦のたんぱく質はペプチドやアミノ酸(甘味・苦味・旨味)に、デンプンはブドウ糖(甘味)に、脂肪はグリセリン(甘味)になります。
麹菌は各醤油メーカー特有の菌株を使用しています。できあがりの醤油はメーカーごとに風味が異なるものです。

醤油麹に食塩水を混ぜて「諸味」とし、長い期間発酵していくのですが、その間に働く微生物が乳酸菌と酵母です。

乳酸菌
麹菌(酵素)がつくりだしたブドウ糖などを原料に、乳酸や酢酸などの有機酸(酸味)をつくり、諸味を弱酸性にします。諸味のpHが下がり弱酸性になると酵母が働きやすくなり、醤油の赤橙色の生成にもつながっていきます。

酵母
タイプの違う2種類の「主発酵酵母」と「熟成酵母」があります。
乳酸菌の働きにより、pH5.2くらいになると主発酵酵母の増殖が活発になり、アルコール発酵が始まります。ブドウ糖から多数のアルコール類をつくりだすことで醤油の香りに大きく関与します。
熟成酵母は、燻製のような香りをつくり、醤油に重厚感を与えています。最終的に香りの成分は300種類も含まれることになります。
主発酵酵母も熟成酵母も各醤油メーカーで蔵に棲みついている菌種が異なり、特有の風味を与えています。

醤油づくりに関与する微生物の特徴は、高食塩濃度の環境下でも生育・増殖することができる耐塩性を持っていることです。そのため増殖はゆっくりと起こります。
また、発酵・熟成期間中に微生物が活発に働くので、諸味の温度は最も高くて30℃近くまで上昇します。この温度下で、ブドウ糖とアミノ酸やペプチドが反応して「メラノイジン」という褐色色素がつくられ着色していきます。発酵が終了するころには豊かな香味と醤油らしい諸味の色になってきます。
これが醤油づくりに長い期間を必要としなければならない、味わい深い理由のひとつです。

麹菌は旨味・甘味・色のもととなる基本成分をつくりだし、
乳酸菌は味に深みを与え香りを引き立て、
酵母は約300種類もの香りをつくります。
このようにおのおのが活躍してくれるので、これらの微生物はおいしい醤油づくりには欠かせない存在です。その微生物が大いに活躍できるように状態を調整する熟練の蔵人もまた醤油づくりに欠かせません。




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